食堂のはなし
父母の食堂の話です。
カウンターと小上がりがあって
壁にはメニューを書いた紙の短冊。
姉に聞いたところによると
最初は「おにぎり屋」から始めたそうだ。
たぶん会社の夜食にという注文だったのだろう、注文が入ると大きな木の折りに幾つも(仕出し屋さんが料理を入れるようなもの)おばあちゃんも姉ちゃんも駆り出されて従業員総出で塩むすびを握っていた。
大きなガス釜で炊いたばかりの熱々ピカピカのご飯。
お茶碗に一度盛って冷まして握るけど
みんな手が真っ赤っ赤。
父のおにぎりが一番綺麗なまん丸だったと姉は言っていた(うちのおにぎりは丸かった)
釜の底の茶色いご飯も美味しかった。
駅前だから色んな人が来た。
知らない旅の人、近所の商店街の人
いつも顔が赤い飲んべえのおじさん…
(もうそろそろ帰った方がいいよと言われていた笑)
夏にはかき氷の機械が出て
大きな瓶に入ったイチゴやレモンのシロップ
氷をガリガリ削る大きな音
母は出汁巻き卵を焼いていた。
大きな四角い卵焼き器にじゃーっと卵液を流して
ぷくぷくと膨れたところを菜箸でトントンと叩く。
折り畳んで空いた所を油で拭いて
卵液を流して奥の卵をちょっと持ち上げ、その下にもじゃーっと流す。
またぷくぷくトントン、くるくる、じゃーっ
横に立ってずっと見ていた。
母の白い割烹着に抱きつくといつも卵焼きの匂いがした。
ある時、巡業でお相撲さんが来て
ステーキを頼んだそうだ。
うちの食堂にもそれらしきものはあったので出したら「扇風機を止めてくれ」と。
当時クーラーもなくて暑いのに何故??と思っていると
「肉が飛んでいく」と笑ったそうだ(^^)
面白い事が大好きな父は
酔うと楽しそうにこの話を何度もしていた。
あの昔のステーキの匂いが懐かしい。
鯖の塩焼きも
食堂で作っていたギョウザも
家で作ってみてもあの味にはならない。
今でも昔からある定食屋さんとか
洋食屋さんの日替わりメニューとか
街の中華屋さんが好きです。
今夜は魚の煮付けとアサリの味噌汁
同僚にもらった朝採れキュウリ(good!)と
ベビーリーフとウチのトマトのサラダ。
ご飯と納豆…朝ごはんみたい(〃∇〃)テヘ