おじちゃんのスケッチブック
おじちゃん(伯母の夫)は貧乏画家だった。
伯母が結婚したとき
おじちゃんは再婚で
目の悪い女の子と多感な高校生の息子もいたので
二十も歳の離れたこんな貧乏画家に嫁ぐなんて
「なんか宗教をやっておられる方ですか」
と近所の人に聞かれたそうだ。
私が物心ついた頃
おじちゃんはもう、おじいちゃんだった。
私には祖父の記憶がないので
おじいちゃんそのものだった。
貧乏だったはずだけど
何故か貧乏臭くはなかった。
子供心にもダンディな人だった。
おばちゃんが亡くなる前
私がちよっと美術に興味があるからと
(息子はまったく興味が無かったので)
おじちゃんの物を何点か譲ってくれた。
よく見ると大正14年発行って書いてある
保管が良くないのでボロボロです^^;
夢ニの絵はがき
東京九段つるや画房、とある
昔の写真を整理していたら(今だにしてます^^;)
こんな写真があった。
場所は解らないけど
あのスケッチブックを持っている。
商売をしていて
いつもガヤガヤしていた自分の家と違って
しーんとした空気のおじちゃんの家が好きだった。
二階のおじちゃんの仕事場。
絵の具の匂いと
ちょっと埃っぽい骨董品の匂い。
玄関におじちゃんの作った陶板を飾った。
今年も二人のお墓参りに行こう。