夏の思い出
日の差さないうちに畑の草取りをした。
今日も暑くなりそうだ。
残りは日の陰る夕方にしよう。
草取りをしていたら
二十歳の頃行った北海道の事を思い出した。
私は地元の短大の美術科にいたのだが
1年の時、仲の良かった日本画専攻の子達と(私はデザイン専攻だったのだけど)
北海道へ行こうという話になった。
私を含め5人の中にひとり
農業高校出身の子がいた。
彼女のつてで北海道の酪農学園大学の先生を紹介して頂き、その先生の紹介で千歳の近くの恵庭の牧場にお世話になることになった。
今になって考えると
酪農に何の関係もない、間に合いそうもない世間知らずの女の子5人をよく受け入れてくださったと思う。
大学の実習生をよく受け入れておられたらしく、二段ベッドの広い部屋があった。
私達の他に静岡から酪農の勉強に来ていたお姉さんと酪農学園の女の子2人。
男子の部屋にも実習生が5人いた。
牛舎に200頭、豚舎にも200頭飼われ
広い広いビーツ(甜菜)の畑もあった。
私達はそのビーツ畑の草取りや
牛追いや牛舎の掃除のお手伝いをした。
朝5時に起きて一仕事、それから皆で一同に集まって朝食。
朝5時に起きたことなんか無かった(@_@)
私は子供の頃は食べるのが遅かった。
この頃誰だったか恵庭の地元のおじさんが
「飯を食べるのが遅いやつは仕事も遅い」
と言った。
私はそれから早飯になった笑
(糖尿病には良くないので最近はゆっくり食べてます^^;)
北海道の景色はこっちとはまるで違っていた。
まっすぐな道。
どこまでも見渡せる畑。
人間も違う。
親方と奥さんはおおらかな方だった。
「あ~ら、食べるものナンもないわ〜」
冷蔵庫を開けた奥さんがカラカラと豪快に笑っていたのを思い出す。
その家には息子が2人いて
(彼らも酪農学園大学生だった)
何故かその長男に私は気に入られた。
もし私もフォーリンラブしていたら
今頃は牧場に居たのかもしれない。
年ごろの男女がたんまりいるのだから
もちろんそんな話もある。
夜は皆でバーベキューしたり花火したり
ドライブしたり本当に楽しかった。
まさに青春、していたと思う。
私が良いなと思ったのはその長男ではなく
親友がちょっといい感じになった人だった。
美人なのにそれに気づいてなくて
めちゃめちゃ性格のよい親友。
こんなの対抗できますか(^.^;
その人と一枚だけツーショットを撮った。
長男にはせがまれて何枚も写真を撮ったけど、どれも私はあんまり笑っていなかった。
「なんで俺とより●●と一緒の方が笑ってるんだべ〜」
と長男が言った。
当たり前です(◔‿◔)
2週間お世話になって離れるとき
奥さんが恵庭の駅で見送ってくださった。
(その頃は青函連絡船がまだあった)
電車に乗り込み5人揃ってドアに立ち
笑顔の奥さんに手を振った。
涙と鼻水でくしゃくしゃになった。
電車が動いても誰も席に着こうとしなかった。
普通の旅じゃなくて
あんな体験ができて良かったと思う。
私達は次の年もその牧場を訪れ
仲良くなった静岡のお姉さんとは
ずっと年賀状のやり取りを続けていた。
年賀状というもの自体を
数年前に辞めてしまったのだけど
手紙を書いてみようかな。
彼女は静岡で牛を飼う農家に嫁いだ。
3歳年上だった、今63歳の彼女に会ってみたい。
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長文になりすみません(._.)
お読みいただきありがとうございました!