ちょこっと日々のこと

今まで生きてきた私の中にあるもの

走れメロスと大好きな先生

メロスは激怒した。

必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。

メロスは、村の牧人である。

笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。 

けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった…


今も忘れられない

「走れメロス」の冒頭だ。


小学5.6年生の担任の先生は

教科書だけでなく色んな教材を使って

私達に「国語」というものを教えてくださった。 

 

今考えると凄いことだ。

学校の規律からはみ出た先生だった。


私達が劇をしたいと言うと

学校の行事ではないのに公演を企画して

友達のアマチュア演劇の方に来て頂いたり

合宿がしたいと言うと

前任だった海のそばの小学校で

私達のクラスだけ合宿をさせて貰った。

その時初めて見た夜の海が忘れられない。


先生は私達を

「大人」として扱ってくれた。

戦争について、差別について、

怒ること、笑うこと

人間として正しいこと


小さな私は一生懸命考えていた。

引っ込み思案な自分と戦っていた。

さっと手を挙げて自分の意見が言いたかった。


今よりずっと真剣に生きていたと思う。


担任になった最初の日一人一人にノートをくれて

「これは自分の思ったことを書くノートです。書きたい時に書きなさい。書きたくない時は書かなくてもよい。」

と言った。


その当時はまだガリ版の時代だった。

先生は毎日鉄筆を握って

私達が書いてきたことや授業のことなどを学級通信にして配ってくれた。


使い古された陳腐な言葉は使うな

自分の言葉で書きなさい


今でもその言葉が残っている。


男女を問わず仲のいいグループで

卒業してからも先生のところへ遊びに行った。

二十歳を過ぎてからもお正月に何度かお邪魔したことがある。

控えめな奥さんにお会いしたことは一度も無いのだけど、おせちやお酒が用意されていて、さぞ迷惑なお客だったに違いないm(_ _)m


昨年先生の訃報を聞き葬儀に出席させて頂いた。

会場へむかう廊下に

先生のご家族との写真が何点か飾られていた。


優しそうな奥さんと並んで

にこやかに微笑んでいる先生がいた。



先生に出会えて良かったです。

教えて頂いて

ありがとうございました。


合掌