ちょこっと日々のこと

今まで生きてきた私の中にあるもの

夢の香り

朝のうちにお墓参りを済ませて

午後はゆっくりすることにした。


何故かふとこの映画が観たくなった。

私が今まで最もリピートしている作品だ。

(両手より多いと思う)


こんなタイトルだけど特定の女性は出てこない。

美しいものの象徴として

女性と、そして香りがある。



盲目の元軍人、アル・パチーノ

英雄だった彼も今は姪の住む家の離れで

世捨て人のように暗闇に生きている。


愛するものはジャック・ダニエルだけ。

実の兄も見離すほどの毒舌。


感謝祭に出掛ける姪たちの留守に

アルバイトで世話を頼まれた青年チャーリー。 

全寮制名門高校の苦学生。


実は中佐は密かに計画を立てていた。

自分の尊厳を確かめる人生最後の旅…


やってきた青年はいきなり

この気難しい盲目の元軍人との

未知の旅につきあわされることになる…


観ている私はチャーリーになり

ニューヨークで戸惑いながら

初めて「一流」というものを経験してゆく。


大好きなシーンがある。

ほのかに漂う石鹸の香りに惹きつけられた

一人の若い女性。

ホルターネックの黒いドレスがよく似合う。


レストランのフロアの中央で

盲目のスレード中佐は

素晴らしいエスコートで彼女とタンゴを踊る。

微笑みながら楽しそうに。


少し哀愁をおびたメロディが

この一期一会の煌めきを彩っている。


夢の香り・アル パシーノ・スーパー タンゴ シーン


すぐに忘れてしまう私だけれど

この映画だけは台詞までも覚えている。


「足が絡まっても踊り続ければいい」

習い始めたばかりのタンゴに躊躇している彼女に言う言葉。


この映画には

彼が言い当てるいくつかの香水が出てくる。

(スレード中佐の特技である)


ジェントルマンという言葉が彼に重なる。

もちろん有名なラストシーンも

徐々に心を溶かしてゆく二人の

旅の途中の数々のシーンも忘れられない。


あのオグルビーの石鹸の香りを嗅いでみたい。


そんな香りが似合う女性になりたい。


『セント・オブ・ウーマン』

 1993年公開 アメリカ